唯一無二を追求し、想いをつなぐ伝説のカレー/東京ボンベイ 恵比寿ガーデンプレイス店

恵比寿ガーデンプレイスから程近い「東京ボンベイ 恵比寿本店」は、全国にファンが多い千葉県柏市発祥の名店「カレーの店 ボンベイ」の東京支店。わずか4坪・5席のスタンディングスタイルだが、1日150食を売り切る人気店だ。2025年5月、待望の着席スタイルの新店舗「東京ボンベイ 恵比寿ガーデンプレイス店(恵比寿支店)」がオープン。新店舗にかける想いとこだわりを、代表取締役の磯野晃一さんに伺った。

地元・柏で〈伝説のカレー店〉を引き継ぎ、東京・恵比寿へ進出
千葉県柏市で「ボンベイ」が創業したのは1968年。「ボンベイ」のそばで遊び、「ボンベイ」のカレーを食べて育ち、その味に魅了されてきたという磯野さんは、先代から店を引き継いだ二代目だ。前職はカフェ経営。その店は、柏の「ボンベイ」先代マスター家族の散歩コースにあったという。
「僕のカフェは人気のない店だったから(笑)、『ここを流行らせてやる!』って1種類だけマスターの奥様とお嬢さんからドライカレーのレシピを教わったのが最初です。その後、レシピをすべて教えていただきながら、僕が『ボンベイ』を引き継ぐことになりました」

東京・恵比寿に進出したのは2018年、「ボンベイ」創業50周年記念事業だった。裏通りの小さな店舗だが、名店の味が恵比寿の街に受け入れられるのに時間はかからなかった。
「うちみたいな町のカレー屋がガーデンプレイスに店を出せるなんて、本当にありがたいご縁です。先代のご家族も喜んでくれていますし、私自身も『ボンベイ』ファンとして、『ボンベイ』のカレーをより多くの方に届けられることに感謝しています」

恵比寿ガーデンプレイスのおしゃれ横丁とも称される「BRICK END」にオープンした新店舗には、カレーに向き合いながら、じっくりと堪能できる座席を設置。「立食に抵抗がある方にも来ていただけます。オフィスワーカーのほか、外国の方を含む観光客など、利用者が広がりました」と磯野さん。
メニューは「ボンベイ」で人気の二枚看板、ホットなスパイシーさがやみつきになる伝説のカシミールカレー、野菜をたくさん食べたい日にぴったりの「ボンベイカレー」のほか、辛いものが苦手な人にもおすすめのマイルドな「マウンテンカレー」など8種類を用意。多様なニーズに対応する。
コンセプトはEBISUとYEBISU。唯一無二のカレーを提供
個性あふれるカレーが揃う「ボンベイ」のカレー。各店舗の厨房で調理をしているため、大型チェーン店とは違い、同じメニューでも店舗によって違いがある。恵比寿ガーデンプレイス店のこだわりは素材。すべて国産で、米は山形県産「はえぬき」の中でも、カレーに合う小粒のものを厳選して仕入れる。肉は鶏肉に特化して品質にこだわり、うまみが強く、臭みが少ない国産鶏を厳選して使用。これでスープも取っている。「恵比寿ガーデンプレイス店では、その日に使う分だけを毎日取ることにしています。スープ作りは熟練の技が必要。これで作ったカレーは本当においしいですよ!」

さらに、恵比寿ガーデンプレイス店のカレーの味の決め手になっているのが、ヱビスビール! もともと「ボンベイ」のカレーにはビールが使われている。「カレーはビールで煮込むとコクや味わいが増すんです。ここでは贅沢にもYEBISUを使うことで、EBISUの街に根差した、唯一無二のカレーを追求しました」と磯野さん。「ボンベイ」各店を巡り、同じメニューを食べ比べて、店舗による味わいの違いを感じてみるのも楽しそうだ。

特別な一皿ではなく、〈日常に溶け込む特別〉を届けたい
メニューはカレー8種類のほか、サイドメニューとして「たまご」「コールスローサラダ」トッピングとして「チェダーチーズ」「たぬき」(自家製の揚げ玉)を各150円で用意。半熟ゆで卵をカレーに漬け込んだたまごは、単品で楽しむのもいいが、カレーにトッピングすると辛さをマイルドに和らげてくれる。その日の気分でトッピングを変え、自分なりの食べ方で「ボンベイ」のカレーを楽しむ常連客も少なくない。

磯野さんは先代が作ってきた味を大切にしながら、「守るべきものは守り、進むべきところへ踏み出す」という信念で、少しずつ新たな取り組みを重ねてきた。
都内でも下北沢、神田と「ボンベイ」のカレーを食べられる店を増やしてきたが、残念ながら神田店はビルの建て替えにより閉店。そのタイミングで恵比寿ガーデンプレイス店への出店が決まったため、神田店で勤務していた熟練のスタッフが、オープニングスタッフとして新しい店を盛り上げている。

「スタッフの中にも子育て中の方がいるので、小さいお子様向けのカレーも出せたらなと検討しています。ゆくゆくはイベント的なコラボレーションや、この店舗ならではの限定メニューも開発していきたい」と磯野さんは意気込む。
恵比寿ガーデンプレイス店はバリアフリーなので、車椅子やベビーカーでも入ることができる点も喜ばれている。誰でも気兼ねなく入れる店づくりが魅力の、〈ガーデンプレイスにある「ボンベイ」〉。通し営業のため、ランチのコアタイムを過ぎても客足が途切れない。また、仕事帰りにふらりと立ち寄って、カレーをつまみに一人飲みをするのも最高だ。日常の延長にある「ボンベイ」として、新たなファンを増やしている。
「若いころから諸先輩方に〈『ボンベイ』のカレーは世界一〉と聞かされてきた」という磯野さんと、先人たちの思いが詰まった「ボンベイ」のカレー。近隣で働く方もそうでない方もぜひ、ふらりと立ち寄って、味わってほしい。
text: Masako Takamaru
photo: Takuji Iigai
SHOP INFO

東京ボンベイ 恵比寿ガーデンプレイス店 [ カレーライス専門店 ]
BRICK END 1F
1968年創業、千葉県柏市発祥のカレー専門店。先代から受け継がれる手作業のこだわりを守りつつ、カレーの味調整に使うビールをヱビスビールに変更してさらなる深みを追求(アルコール分はしっかり熱を入れて抜けているので、年齢を問わず味わうことができる)。恵比寿ガーデンプレイス内のオフィスワーカーには、社員証提示で食後にチャイのサービスも。
定休日:年末年始
営業時間:11:30~22:00(L.O.21:30)
電話番号:03-6277-4609
店舗詳細: https://bit.ly/4kexZBA