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夏はスパイスや発酵食品を使った料理で食養生を! 恵比寿のおすすめエスニックレストラン2選

連日続いている過酷な暑さを乗り切るなら、しっかりと食べるのがいちばん! そこで、さまざまな国の飲食店が集まる東京・恵比寿で、夏にぜひ訪れてほしいエスニックレストランを2店ご紹介。「食事が体をつくる」という、医食同源の考えが根づいたアジアの料理で、おいしくエネルギーをチャージしたい。

1.  恵比寿で愛されて30年、ネパール料理店の草分け「クンビラ」

恵比寿駅(JR東日本、東京メトロ日比谷線)から歩いて数分、突如現れるガラス張りのユニークな6階建てのビル。「太陽の光や夜空の星空が見えるようにガラスを多用し、コンクリートの壁は雪深いヒマラヤを表しています」と語るのは、クンビラのゼネラルマネージャー、出口ディアナ美保さん。店内の随所にネパールから取り寄せた手彫りの彫刻が施され、神秘的な装飾などが異国情緒を誘う。

空、風、火、水、土といった、ネパールの自然をイメージした各フロア。階段を5階までのぼるとひときわ開放的な空間が広がり、最上階の6階は一転して山頂に見立てた厳かな雰囲気が漂う。

ドーム型の大きなガラス窓から光が降り注ぐ5階席(要予約)。ネパール式の座敷になっており、ネパールの職人による大きなオーナメント作品が飾られている。

クンビラの創業は1978年。まずは食からネパールの文化を知ってほしいという願いを込めて、出口さんの母、ディルマヤさんがカレー店として長野県上田市でスタートした。1980年に東京・広尾へ移転したのち、1994年、東京・恵比寿で再出発。ネパール料理店の草分け的存在として知られ、30年以上この街で愛され続けている。

エベレスト街道最大の街、ナムチェバザールはディルマヤさんの故郷。そこから見えるヒマラヤ山脈の一角が、店名のルーツになったクンビラ山だ。標高5761メートルのクンビラ山は古くから神の住む場所として崇められており、日本では四国の金比羅さまの語源になった山としても知られる。

「私たちが恵比寿に店をオープンしたのと時を同じくして、恵比寿ガーデンプレイスが開業。その3年後には恵比寿アトレができ、どんどん賑わいが増していきました」と当時を振り返る出口さん。

GOD ROOM(神の部屋)と名付けられた、最上階の6階個室は要予約。神秘的な空間が広がり、木彫りの彫刻が温もりを添える。

ランチタイムは日替わりビュッフェが好評。平日は60分制で周辺で働く人々の来店が多く、土日祝日は90分制でゆっくりと過ごせる。

「ネパールでは日常的にスパイスを使いますが、辛くない料理が多いんですよ。スパイスそれぞれが生薬としても使われ、体の調子を整えてくれます。ネパールは宗教上の理由でベジタリアンが多く、肉なら鶏肉を使います」と出口さん。

クンビラのゼネラルマネージャー、出口ディアナ美保さんは、長野県上田市育ち。「ネパール出身の母から受け継いだ味や、ネパールの文化を多くの人に伝えていきたいです」(出口さん)

「ディナータイムは、名物のオリジナル料理『ヒマラヤ鍋』を含むコースが人気です。私が子どもの頃、風邪を引いたら母が作ってくれたスープがヒントになっています。色とりどりの野菜と丸鶏をスパイス入りのスープで煮ますが、今年の夏は、長野県から取り寄せた高級地鶏『真田丸』を使ったスペシャルバージョンがおすすめです」(出口さん)

クンビラ名物のヒマラヤ鍋。は、ディナーコースで味わえる。真田丸を使ったスペシャルバージョンは1人8,800円の「至高のヒマラヤ鍋コース」(要予約。写真は4人前)。

体を温め、胃の調子を整えるターメリックや、消化を助けるクミンなどを使ったスープに、鶏肉や野菜から出るだしが相まって実に味わい深い。「味の決め手はヒマラヤのブラック岩塩。5000年ほど前、ヒマラヤが形成されたときの地殻変動によって地層に閉じ込められた海水から生まれた、採掘量が少ない貴重な塩です。ごく少量でも旨味があり、まろやかなんですよ」と教えてくれたのは、クンビラで営業部長を務める高木政行さん。

フレンドリーなスタッフが、鶏肉の骨を除きながら丁寧に取り分けてくれる。

「この夏イチ推しのアラカルトメニューは、近頃、人気上昇中の『ビリヤニ』と、カッテージチーズの串焼き『パニールティッカ』です。どちらもカレーの味の要になるスパイス、クミンを使っていて、日本人にも食べやすい味ですよ」(高木さん)

チキンとゆで卵がたっぷりで、食べごたえ満点のビリヤニ(1,980円)。
カラフルな夏野菜と一緒にパニール(カッテージチーズ)を香ばしく焼いたパニールティッカ(1,430円)。爽やかなミント入りのヨーグルトソースで、味わいの変化が楽しめる。

「私の故郷は標高が高く、十分な医療が行き届かない地域だったからこそ、食が大切にされてきました。食材の持つ力を体に取り入れて、夏を元気に乗り切りましょう」(出口さん)

2. 雲南省とミャンマーの文化を食で体験できる「95Yooya」

恵比寿ガーデンプレイスからほど近い「ビール坂商店会」の一角に、2023年「95Yooya(キューゴ ヨーヤ)がオープン。店内は選び抜かれたインテリアと温もりのある雰囲気が調和し、心地のよい時間が流れる。店名の95は、国際電話でミャンマーの国番号。yooyaは、ミャンマー語で「伝統」を意味する。

スタイリッシュな内装とアンティーク家具が調和する、居心地良くおしゃれな店内。

オーナーのステファニー・マーさんは、ミャンマー北部のカチン州に生まれ、中国・雲南省にもルーツをもつ。長年、シンガポールで金融関係の仕事に就いていたステファニーさんだが、一念発起して2023年、日本へ移住。「まだあまり知られていないミャンマーと雲南の食を通じて、豊かな文化を世界に伝えたいと考えてきました。それを実現するのに、最適な場所だと考えたのが恵比寿です」とステファニーさんは語る。

「恵比寿は活気があり、国際的な雰囲気が融合した、個性のあるスタイリッシュな街。強いコミュニティ意識と創造性も感じます。まだ店のオープンから間もないですが、温かな人柄の周辺企業の方々やお客様たちと密接な関係を築くことができて、とても幸せです。今年3月にミャンマーで大地震が発生した際も、迅速で温かなサポートをくださったことを心から感謝しています」

「味だけでなく、一口ごとに込められた文化と歴史も楽しんでいただきたいです」と語る、オーナーのステファニー・マーさん(写真中央)。スタッフは全員ミャンマー出身。

「新しい味への好奇心旺盛な方や、ハラールフードを必要とする方、ベジタリアンなど、さまざまなお客様がいらっしゃいますが、どなたにも、『本物』を提供したいと考えています。ミャンマーや雲南から取り寄せた、厳選した食材とスパイスを使った料理を使って、単なるレストランではなく、まるで、家庭でのおもてなしのような温もりのある時間を体験していただけたらうれしいです」(ステファニーさん)

ステファニーさんの家族写真などを飾った壁。ミャンマーのチーク材を使用したフレームが温もりを添える。クッションの生地は、ミャンマーで織ったもの。

雲南料理は、発酵食品やハーブ、きのこ、唐辛子の大胆な使い方が特徴で、素朴でありながら、香りや酸味の豊かさが味わい深い。一方、ミャンマー料理はインド、タイ、中国から深く影響を受けており、やはり発酵食品が使われ、サクサクとした食感や、塩味、酸味、辛味の複雑なバランスが印象的だ。それぞれの良いところを取り入れた95yooyaの料理は、野菜や豆類をふんだんに使い、たっぷり食べても軽やかで、とってもヘルシー。

95Yooyaで人気の前菜は、発酵させた食べる茶葉を使ったサラダ「ラペットゥ」。11〜13世紀のミャンマー・バガン時代から食べられているという伝統料理だ。日本の高菜漬けのような味わいの発酵させた茶葉は、程よい酸味があり、干しエビや揚げ豆のサクサクとした食感と旨味もくせになる。

人気の前菜、ラペットゥ(1,290円)。発酵させた茶葉に、干しエビ、トマト、キャベツなどを合わせたミャンマー伝統の味。
色鮮やかな食材を一皿に盛り合わせた「アソン・トゥ」(1,690円)は、手でよく混ぜて、たっぷりの野菜や春雨など、多彩な食材のハーモニーを楽しむミャンマー式のサラダ。甘酸っぱいタマリンドソースが味の決め手。

「ミャンマーの国民食『モヒンガー』も、ぜひ体験していただきたい一品です。レモングラスやにんにく、玉ねぎで風味をつけた魚介がベースのスープに、細い米麺を合わせたもので、ミャンマーでは朝食にしたり、屋台で食べたりするほどポピュラーなんですよ」

ミャンマーのソウルフード、モヒンガー(1,590円)。サクサクとした豆の大きなかき揚げをトッピング。辛みは好みの加減でプラスできるよう、別添えにしてあるのがうれしい。

雲南に起源があり、ミャンマーを代表する「シャンヌードル」も人気だ。米から作られる細麺に、自家製のチキントマトソースが絶妙にマッチ。

汁なしと汁ありが選べる、シャンヌードル(1,490円)。添えられている牛肉の煮込みは、ステファニーさんの祖母から伝わる秘伝のレシピ(プラス490円)。写真奥は、ひよこ豆で作るサクッとした揚げ豆腐(890円)。

「今後は、雲南の茶道や、スパイス料理、手打ち麺などのワークショップも予定しています。食事を分かち合うことは、文化を結びつける最も簡単な方法のひとつです。私たちがお出しするすべての料理から、料理のルーツ、それを作った人々の手など、ストーリーを感じていただけたらうれしいです」(ステファニーさん)

※2025年7月29日現在の情報です。

text:singt
photo:Ryo Yonekura

SHOP INFO

クンビラ

東京・恵比寿で30年以上愛されている、ネパール料理の草分け的存在。名物の「ヒマラヤ鍋」のほか、ランチタイムはビュッフェも人気。5、6階の個室は要予約。

場所:東京都渋谷区恵比寿南1-9-11

定休日:月曜(月曜が祝日の場合は、翌火曜が定休)
営業時間:火、水、木、土、日 11:30〜14:30(L.0. 00:00)、17:00〜22:30(L.0. 22:00/料理)
金 11:30〜14:30(L.0. 00:00)、17:00〜23:00(L.0. 22:30/料理)
電話番号:03-3719-6115
店舗詳細:www.khumbila.com

95Yooya(キューゴヨーヤ)

中国・雲南とミャンマーをルーツに持つオーナーが、家族から受け継いだ味や、故郷の伝統を融合させた唯一無二のレストラン。洗練されていながら温もりのあるインテリアとチャーミングな接客も魅力。

場所:東京都渋谷区恵比寿4-22-7 恵比寿イーストスクエア 1F
定休日:なし
営業時間:月・火・水・木・日・祝日・祝日の翌日 11:30〜15:00(L.O.14:30)、17:30〜22:30(L.O. 料理21:30、ドリンク22:00)
金・土・祝前日 11:30〜15:00(L.O.14:30)、17:30〜23:00(L.O. 料理22:00 、ドリンク22:30)
電話番号:03-6277-0718
店舗詳細:https://www.facebook.com/people/95Yooya/61551720519731/
Instagram @95yooya